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図4.2.1新しい保守・点検のシナリオ

(1)き裂損傷に関する重要箇所の選定
き裂損傷に関する重要箇所は、き裂損傷の多発箇所、繰り返し荷重を受ける構造的応力集中部を含み、船体構造の局部のき裂が伝播した際、限界状態に陥り易い船体構造の場所をいう。
(2)限界状態(小事故)の定義
限界状態とは、疲労き裂伝播解析により寿命予測を行う場合の、寿命が尽きるときの状態をさす。限界状態の定義を本SRでは、(1)区画への浸水(2)主要構造部材の急速破壊(トータルロスヘの引き金)の2種類とし、具体的には下記の事象到達をもって、限界き裂長さの設定を行うことを提唱した。
(a)区画への浸水
(1)スキン材(外板/隔壁板)に生じたき裂がスキンを貫通した時点
(ii)スキン材(外板/隔壁板)への伝播が高確率と判断されるスキン材付ステイフナ等のき裂が所定の長さに達した時点
(b)主要構造部材の急速破壊
(i)大骨部材のウェブ材に進展したき裂が所定の長さに達した時点
(ii)同機能複数損傷のき裂が所定の長さに達した時点
(iii)主に縦曲げに寄与する部材に発生/伝播したき裂が不安定破壊を引き起こす長さに至った時点
これらの限界状態は、船体の折損/大破口による転覆・沈没といった船全体に関わる大事故とは区別し、大事故へのトリガーとなりうる事故/貨物が損害を受ける事故/海洋環境を汚染する事故として、小事故と呼ぶことにする。また、この小事故の状態はき裂がある長さにまで伝播した状態であり、

 

 

 

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